210j テレワークと韓国系民族学校のオンライン授業

コロナ禍がもたらした新しい生活様式のなかで何よりも際立っているのは、インターネットを利用したリモート業務(remote work)だと思われます。感染防止のため、できるだけ人々の接触を避けて仕事しなければならない状況から生まれた新たな光景です。 日本のようにインターネット文化が必ずしも十分に定着していない社会においても、否応なくインターネットによるテレワーク(在宅勤務)を導入せざるを得ない企業が増えています。外国公館のように機密事項を含む機微情報を扱うために在宅勤務がむずかしい職場でも、セキュリティ対策を講じたうえでビデオ会議を実施しています。「必要は発明の母」という格言を改めて身近に感じます。 コロナ禍のなか、私もビデオ会議に二度参加しましたが、直接会って話すより不便な点がないわけではないものの、予想したよりはるかに便利に思いました。会ったときの感情の無駄などを考えると、かえってよい面もあるようです。 韓国では本格的に学校での授業が開始される前に、全国すべての学校でオンライン授業を実施しました。他方、日本では一部の大学を除き、あまり活発に行われなかったように思います。日韓におけるインターネットをめぐる環境と文化や意識の違いが反映されていると思われます。 こういう状況のなか、関西の韓国系学校の建国小中高等学校・金剛学園・京都国際学園はいずれも日本の教育法に基づく文科省認可の一条校ながら、インターネットを利用した遠隔授業を実施しています。韓国の学校におけるオンライン授業に刺激を受けたことも大きいと考えられ、韓国的なインターネット文化を色濃く反映しているように思います。 これら韓国系民族学校のオンライン授業が、「韓国系」という要素と並ぶ、もう一つのブランドになることに注目した在大阪韓国総領事館は、これら三校のオンライン授業を積極的に支援することにしました。5月28日には、三校のオンライン授業を推進する教員たちを招いて、発表と意見交換の会を催しました。 発表を聞いて、インターネット環境が十分に整備されていないなかで奮闘する教員の苦労をまざまざと見せつけられました。三校が異なるプラットフォームを使っているのも注目されます。 建国学校はインターネットのバンド機能を使って遠隔授業を進めており、生徒も参加してバンド機能を利用した授業の方法を紹介しました。金剛学園は日本のチャットアプリを使った授業をしています。同学園のオンライン授業のようすは5月8日に関西テレビでも紹介されています。京都国際学園は YouTube で作成した教材を学校のサイトに載せる方式を採用しています。残念なことに、これらの授業は韓国の学校とは違い、正規の授業日数に含まれないといいます。 参加した教員たちは、他校の発表を見て活発に意見を交わしていました。明確なモデルがないなか、他校の授業方法を見て大いに参考になったと参加者は述べています。今後さらにやり取りを重ね、教材や運営方式を共有していくこととしました。教育内容と方法をめぐって民族学校三校が事実上初めて合同協議を行ったという点でも、今回の会は意義深いと思われます。 在大阪韓国総領事館は民族学校三校のインターネットを通じた遠隔教育を活性化するため積極的に支援していく予定です。

209j 在大阪韓国総領事館も25日から通常勤務に

5月21日から東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・北海道を除く日本全域の新型コロナ感染症による緊急事態宣言が解除されました。もちろん、在大阪韓国総領事館が所管する大阪府・京都府・滋賀県・三重県・和歌山県も解​​除対象地域に含まれています。 とはいえ、市井の人の表情と街のムードにはまだ緊張感が漂っています。コロナ以後の世界がコロナ以前に戻るのは容易なことでないと思われます。 緊急事態宣言の解除に伴い、総領事館も25日から交代制の在宅勤務を通常勤務体制に移行します。1ヵ月余りぶりの通常勤務ですが、新型コロナ感染症が完全に終息していないため、感染予防対策を徹底し、維持しながら勤務することにしました。 コロナ禍の鎮静化に伴い、これまで延期してきた対外的な活動も徐々に再開しています。 解除前日の20日には、大阪府にある進歩的コリアン団体のウリ民主連合(会長 イ・チョル、在日コリアン良心の囚人の会会長)の事務所を訪ね、新型コロナ感染症の防護用マスクを贈呈しました。総領事館としての訪問は初めてのことです。 朝鮮半島の統一と民主主義の発展、人権擁護、国際親善を支持するオールドカマーとニューカマーが2017年末にこの団体を結成し、韓国光州市での5・18記念式開催や在日コリアンの民族教育支援活動を行ってきました。マスク贈呈後、会員と活動方針などについて意見交換し、今後、総領事館と協議しながら在日コリアン社会の発展と日韓友好に協力していくこととしました。 21日には、3月初めから実施してきた民団各支部の支団長との懇談会を再開しました。大阪民団の29の支団長との懇談会を終えた3月末以来、コロナ禍のため中断していたのです。この日は奈良市に行き、奈良民団所属の支団長に会いました。奈良民団には10支部があり、5支部は奈良民団本部が直轄しています。残り5支部から3人の支団長が出席しました。イ・フン奈良民団団長など本部の幹部も3人参加しました。 自然と新型コロナの話題から始まりましたが、支団長は韓国が新型コロナ感染症対策に成功しているのを見て鼻高々だと誇らしげに話しました。在日コリアンの士気に最も大きな影響を与えるのは、やはり母国の力だと実感しました。また、参加者一同がコリアン社会の縮小、とくに若年層の不参加が大きな問題と困難だと吐露しました。現場でコリアンと最も密に接している支団長が民団活性化の鍵を握っていることを強調し奮闘するように激励しました。 徐々に活動を再開しながら、久しぶりに開放感を感じました。新型コロナであれ何であれ人の恣意的な活動を中止することも悪いことばかりではないようです。

208j 日本の批判的知識人、内田樹先生

最近のように外交活動が全面的に停滞した時期は歴史上いつあったでしょうか。戦争中も動くといわれる外交活動をいま妨害している犯人は、もちろん戦争ではありません、新型コロナウイルスです。 5月13日付け朝日新聞によると、すでに日本に赴任しながら、天皇に信任状を捧呈できないため大使として公式活動ができない国が、トンガ、ルワンダほか5ヵ国あります。また、大使など海外勤務の人事発令を受けながら駐在国に行けず、帰任命令を受けながら帰国できない日本の外交官は数十人に達するといいます。 コロナ禍のため航空便が途絶えるなど、移動が制限されているためですが、このような状況は日本だけの特殊なことではありません。人事発令に伴う移動制限だけでなく、赴任地で勤務している外交官の活動も大きく制約されているのです。 新型コロナ感染症に伴う緊急事態宣言下の大阪も例外ではありません。できる限り接触を回避するようにとの指示のためか、予定していた駐在員との約束が相つぎ取消しまたは延期されています。総領事館の職員も感染防止のため交代で在宅勤務しており、長いあいだ顔を見られないこともあります。 こんな状況のなか、13日、韓国でも広く知られている日本の批判的知識人、内田樹(うちだたつる)先生にお会いしました。 本年2月に出版された『サル化する世界』を読み、大いに共感しました。4月に出版された先生の編著になる『街場の日韓論』は、さまざまな分野で活躍する11人の共著で、経験にもとづく文章が生き生きしていて具体的なのが特色になっています。 共著者に伊地知紀子氏(大阪市立大学教授)ほか知人が数人いることもあり、内田先生の住む神戸でぜひお会いしたいと思い、伊地知教授にお願いしたところ、予定が取れたとの連絡がすぐにありました。 内田先生は合気道7段の武術家でもあります。凱風館という合気道の道場兼ご自宅でお会いし、昼食を含め3時間歓談しました。最近のコロナ禍、関西地域の在日コリアン問題、韓国政治、日韓関係など、話題を自由に転じながら、時の経つのを忘れました。コロナ禍が鎮静化したころに語りつくせなかった話をすることにし、再会を約して帰途につきました。 フランス思想が主専攻の内田先生は、社会のほぼあらゆるイシューについて批判的な視点から精力的に発信しています。単著と共著を含め著作は数十冊に上ります。韓国でも10冊余りが翻訳されているようです。武道で鍛えたせいか、70歳というのに、先生は若者に劣らぬ整った体型を維持し、奥深い目には知性美が溢れています。 内田先生と出会い、コロナ禍で疲れた心身ともに気が満ちたように感じます。久々の楽しく意義深い時間を堪能しました。

207j 苦難を共有できるのは苦境にある人々

韓国では国会議員選挙をやり遂げるまで新型コロナ感染症の拡大を抑え込んでいます。他方、日本では東京・大阪ほか7都道府県に緊急事態宣言が出されて1週間過ぎても、火の手が収まる気配が見えません。全国で1日4-5百人あまり感染確定者が出ています。 日本政府もようやく PCR 検査を大幅に増やし、人々がみな人との接触を80%以上減らすよう繰り返し訴えています。16日夜には、これでも不十分と考えたのか、日本全国に緊急事態宣言を拡大しました。選別的な検査を行ってきて感染経路を特定できない感染確定事例が過半に達しているので、避けがたい選択だと思われます。 問題は、会社では在宅勤務環境が整備されておらず、商店に対して補償のない休業を強要している点にあり、不備だらけなのは仕方ありません。にもかかわらず、感染確定者数が予想より急上昇しないのは、<言われたことをよく聴く国民性>によるところが大きいと思います。 日本政府による人との接触の大幅な自粛要請とたゆまない感染確定者の発生に応じ、在大阪韓国総領事館も14日から民願室などの行政職員をグループ編成にしてシフト勤務体制に入り、外部の活動もほとんど皆無にしました。 このような時、もっとも重要で容易でないのは現地のコリアンを支援することです。駐在国の国民と比べ、コリアンの医療サービスが脆弱なためです。幸い、在日コリアンの感染者はまだ発生していないので、徹底した予防に尽力しなければなりません。 同病相憐れむという言葉があります。コロナ禍が生じるや、某コリアン団体がマスクを集めてコリアンに配布するという心温まることがありました。苦難を共有できるのは、やはり苦境にある人々なのです。 大阪民団は、マスク5千枚を29支部を通じてコリアンに配布しています。あるコリアンは「お店に行って買おうとしても購入できない。こんなことがあって、今さらながら民団の必要性を感じた」と述べています。商人たちの近畿商友会も独自のネットワークを通じて2万枚のマスクを中国から入手し、高齢のコリアンなどに配布しています。 在大阪韓国総領事館も災害救援用に確保していたマスクの一部を、少量ながら、4月1日と2日に所管地域のコリアン老人介護施設5カ所を訪問して渡しました。

206j 第20代総選挙の在外投票率 48.5%

コロナ禍のなか、第21代韓国国会議員選挙の在外投票が全世界の約半分の地域で実施されない事態となりました。2012年4月の第19代国会議員選挙のときに導入されて以来、今回が5回目となる在外投票において、このような事態が生じたのは初めてです。 幸い、日本地域では4月1日から6日に在外投票が無事に実施されました。在大阪韓国総領事館の所管地域でも何事もなく実施されました。総領事館1階のギャラリーに主投票所を設け(4月1日-6日)、京都民団本部と和歌山民団本部でも追加の投票所を運営しました(4月3日-5日)。 これまで国会議員選挙と大統領選挙の在外投票をそれぞれ2回実施しました。大統領選挙の投票率が国会議員選挙のそれより高く、回を重ねるごとに投票率が低下する傾向にありました。在大阪韓国総領事館の所管地域における過去の投票率は以下のとおりです。 2012年4月第19代総選挙 61% (2407/3945人投票) 2012年12月第18代大統領選挙 76.2% (5964/7826人投票) 2016年4月第20代総選挙 26.7% (1706/6382人投票) 2017年5月第19代大統領選挙 54.1% (4338/8018人投票) これまでの傾向からして、総選挙の在外投票導入から時間が経ったこともあり、​​今回の総選挙は投票率が大幅に低下すると見られていました。しかし、結果的に選挙人4940人のうち2397人が投票して48.5%を記録し、やや意外な結果となりました。 なぜこのような結果になったのか正確にはわかりませんが、これまでの流れとは異なり、新型コロナ感染症拡大さなかの高い投票率だった点を考慮すれば、十分に分析する価値があると思われます。 関係筋によれば、韓国内における選挙に対する高い関心が在外国民にも影響を与えたといいます。また、数回の選挙を経験して在外投票に積極的な層を中心に選挙人登録するための投票とみられるということです。在外投票者には、韓国に住所を有する在外不在者と国内住所のない在外選挙人があります。後者の場合、2回連続して投票しないと選挙人名簿から削除され、投票するには再び選挙人名簿に登録しなければなりません。こうした過程を通じて投票に積極的な層が残ったという推論です。在外不在者は選挙のたびに登録しなければならないため、比較的投票に積極的だと見ることができます。 コロナ禍に関わる日本の特殊事情が反映されたという分析もあります。日本政府が新型コロナ感染症に伴う緊急事態をいつ宣言するか不明な状況が、在外投票の序盤から早く投票するように仕向けたというのです。実際、6日間の投票期間の中後半より序盤に投票者数が多かったのです。日本の緊急事態宣言は投票がすべて終わった後の7日午後に発出されました。 どのような要因であれ投票率が高いのはよいことです。どうせなら50%を越していたらとも思いますが、少し手前の48.5%にとどまったのが残念ではあります。

205j Before and after the Coronavirus

在大阪韓国総領事館の所管区域で活動する韓国企業の経済活動を支援するため、毎年上半期と下半期に分けて二度ほど、企業活動支援の協議会を開催しています。韓国から派遣されたKOTRA(大韓貿易投資振興公社)、韓国観光公社、韓国農水産食品流通公社と企業の関係者が参加する情報の共有と協力を推進するための協議会です。 コロナ禍のため事実上、日韓の人の移動が途絶え、企業も混乱した状況にあります。誰にも一寸先が見えない状況とはいえ、数字で日々業績評価される経済人ほど、いま心を痛めている人はいないでしょう。 このようなとき、何もせずに過ごす方法もあるでしょう。他方、むしろこういうときだからこそ何とかして動くべきだという逆転の発想も必要だと思います。こんな考えから、4月2日、<コロナ防護完全武装>を講じつつ、企業活動協議会を開催しました。実施する以上、コロナ禍に覆われた現状を乗り越えるため、何らかの役に立とうとして開催準備に当たりました。 関西地域における代表的な経済研究所であるアジア太平洋研究所の稲田義久研究統括(甲南大学教授)を招き、「コロナ禍が関西経済に及ぼした影響」をテーマに講演会を開催しました。時宜を得たテーマだったせいか、いつもより多くの企業人が参加して講演に耳を傾け、活発に質問しました。 冒頭、稲田教授は、日本銀行が前日に発表した2020年3月の短観調査を示し、コロナ禍によって企業がいかに衝撃的な状況に陥っているかを示しました。質疑応答を含め約1時間の講演で最も注目を集めたのは、やはりコロナ対策でした。 稲田教授は、まず感染拡大を抑止し、激減した収入を穴埋めする必要を強調しました。コロナ禍を持ちこたえるために、流動性不足の状態を解消しなければならないとも述べました。中長期的には、コロナ後に到来が避けられないデジタル化の促進に備え、危機をチャンスに転換する必要があるとも述べました。また、変化する状況に応じてリアルタイムで対策を講じられる体制の構築も大事だと述べました。 稲田教授はまた、自らの大学でもこれまで一度も試みていなかったオンライン講義のために年配の教授たちが悩まされている状況をあげ、オンライン文化が日本より進んでいる韓国のほうが、コロナ後、はるかによく適応できるだろうと述べました。 コロナ禍の終わりが見えない状況のなか、世界各国の知識人たちは BCAC (Before Corona, After Corona) 問題を提起しています。この日の協議会は、現場に埋没して中長期的な思考を見失いがちな企業人に対し、中長期的な問題意識を投げかけることにささやかな意義があったと考えています。

204j 2025年万博協会を訪ね、会場予定地を視察

4月1日、例年なら日本でも、新聞のような媒体がいかにもありそうな虚報を掲載するエイプリルフールなのに、ことしはその気配すらありませんでした。日本の上空を覆うコロナ禍の憂鬱のためでしょうか、この日、春雨としては激しい降雨があり、憂鬱の度合いを深めました。 コロナ禍が発生する前に約束していた2025年日本国際博覧会協会の訪問を4月1日に強行しました。コロナ禍が続くなかキャンセルを打診しましたが、予定どおりとのことだったので訪問したのです。 大阪府咲洲庁舎にある博覧会協会事務局を訪問する前に万博会場予定地の夢洲(ゆめしま)を見学しました。風雨が強かったため、車に乗ったまま敷地を周回して説明を聞きました。 現場では、多くの重機がパビリオンなどの敷地整備工事をしていました。日本の高校野球の聖地と呼ばれる甲子園球場150個分の広さだといいます。 パビリオン地域をはじめ、三つの地域に分けて会場工事をしていました。パビリオン地域は、参加国に敷地だけ提供する方式、建物を建設して提供する方式、開催者が形状デザインから建築まで行う複数参加国による共同使用方式の三種に区分してパビリオンを設置する計画だそうです。 会場見学を終えたあと、咲洲庁舎に戻って櫟真夏(いちのきまなつ)広報国際担当副事務総長から全般的な準備状況について説明を受けました。博覧会の準備もまたコロナ禍の影響を若干受けているようでした。本年6月に博覧会国際事務局(BIE)の承認を得て参加国に招待状を送付する予定のところ、10月から開催予定のドバイ万博の延期が生じるなど、日程の変更が見込まれるとのことです。ただし、2025年4月13日の開催期日から逆算して定めた参加国に対する敷地提供予定期日(2023年5月)は死守する計画であると強調していました。 説明を聞いたあと私は「韓国から見て最も近い国で開催される国際イベントが正常に催されることは、隣人である私たちにも好影響を及ぼします…緊密に情報交換し協力しましょう」と述べました。大阪市が掲げたテーマ「生命が輝く未来社会のデザイン」が、コロナ禍のために一層注目を集めることになるだろうとも述べました。 コロナ禍と春雨のなか重苦しい訪問でしたが、困難のなか強行した日程だったため、かえって手厚い歓迎を受けたように感じました。雨曇りの天候のせいで会場予定地をきちんと見学できなかったことが心残りです。

203j 大阪民団の支団長と5回の懇談会

大阪民団の29支部の支団長たちと面会し、現場の声を聞く連続懇談会を催しました。一人ひとりに会って話を聞くのが好ましいのですが、諸事情を考慮して5チームに分け、3月5日から31日まで実施しました。 日本の代表的な在日コリアン団体である民団中央本部の下に各都道府県の民団があり、その下部行政単位ごとに支部が設置されています。大阪民団には29の支部があります。 現地の在日コリアンに最も近い距離で接触してやり取りするのが支部組織であり、そのリーダーが支団長です。ふだん韓国総領事館が接するのは主に都道府県の民団以上の幹部であり、私どもも諸行事や業務で忙しく、支部幹部に会いたくても会う機会を作るのが難しいのです。 こうした状況のなか、現場の司令官ともいうべき支団長に会って話を聞く計画を準備し、実施は新年度の諸行事が本格的に始まる前と考え、3月初めから予定を組みました。 懇談会では、団員の高齢化、世代交代の難しさ、団員数の減少、ニューカマーとの関係などの予想された問題が噴き出しました。単に抽象的にこれらの問題があることを知るのと、現場の生の声を通して問題に接するのとでは大いに異なることを改めて確認しました。 複数の支部では、厳しい状況にあっても高齢者の福祉事業、保育園の運営などの創造的な活動により活気を維持しています。在日コリアン社会にとどまらず、地元の日本人とも良好な関係を築いて堅実に活動している支部もあります。厳しい状況下、行動力のある一人か二人の努力が支部の活性化をもたらしている話を聞き、胸に迫るものを感じました。 支団長も久しぶりに総領事館のスタッフとじかに話す機会を得て嬉しそうでした。そして、韓国政府がより積極的に民団を支援してくれるよう要請しました。時代の変遷に伴って受入れがたい要望もありましたが、それも在日コリアンの格別な祖国愛ゆえだろうと思います。 民団がほかの国のコリアン団体と違うのは、ほとんどの支部が自らの会館を持っていることです。ほぼすべての支部が、ハングル学校を運営しているとも思われます。さらに格別なのは、日本社会の差別と冷遇のなかで生きてきたために、どの国の国民よりも祖国愛が切実だということです。 すべての問題に対して現場が答えを出すことはできませんが、現場でなければ見つけられない答えが確かにあることを確認した懇談会でした。

202j 関西地域の民族学級講師と懇談会

新型コロナウイルス感染が猛威を振るっているいま、万事に慎重たらざるを得ません。行事を催そうとすれば、感染の拡散を誘因しないか心配ですし、かといって何もしないのは、その感染脅威に安易に屈服するようで卑屈に思われます。最近はどんな行事を催すにも、新型コロナウイルス感染の恐れと行事を実施する成果と意義を検討しないわけにはいきません。 3月26日夕刻、関西地域で活躍する民族学級(クラブ)の講師との懇談会を催しましたが、この会を実施すべきか中止するか大いに悩みました。民族教育の重要性に鑑み、生徒を指導する講師に対処能力は十分あると考えて実施しました。当然、会場における座席の間隔を十分確保し、手の消毒、マスクの使用、体温の測定など、万全の準備を施しました。 困難な状況のなか、全50人の講師のうち20人余りが参加しました。はじめに、昨年開発された生徒指導教材「五色の翼3」とハングルを創製した世宗大王(1397-1450)の業績に関するアニメ映像資料を講師が発表しました。各講師の使用教材を収集して共有するためのプラットホーム構築についても発表がありました。 50人のうち常勤講師は16人のみで、多くは講師だけで生計を維持できずにアルバイトを強いられる劣悪な環境にあります。そんな困難な状況のなか時間を捻出して優れた教材を開発した講師たちの情熱と奮闘は驚くべきものです。 教材開発などの発表のあと、隣室に移動して歓談しました。互いに会う機会がない講師の事情を考慮し、会食しながら自己紹介をし、民族教育に携わるなかで感じたことや韓国政府に対する要望を聞く時間を持ったのです。私は次のように述べました。 在日コリアン社会の発展や将来のため民族教育はきわめて重要であり、民族学級の講師のみなさんが民族教育において重要な役割を果たしていることを熟知しています。みなさんの背後に韓国政府があることを信じて業務に邁進してください。 新型コロナウイルスの感染を警戒しながら実施した3時間余りの行事でしたが、実施してよかったと考えています。

201j 新型コロナ対策: 「最大」検査の韓国と「選別」検査の日本

新型コロナウイルスが大阪韓国総領事館の業務にも甚大な影響を及ぼしています。 第1に、パスポート・ビザなどの申請のため総領事館に訪れる人が感染しないように最善をつくしています。出入りする人全員にアルコールによる手の洗浄を案内し、体温を検温しています。民願の受付スタッフも全員マスクをして業務に当たっています。 新型コロナ感染を懸念し外部の活動を自粛しているため、通常1日に約250人いる民願受付の訪問者がほぼ半減しました。訪問者数が減って業務量が減ったと思われるかもしれませんが、そうではありません。感染対策に備えた緊張感を考慮すると、業務量は質的に増大したともいえます。 第2に、日本政府が急きょ3月9日から講じた韓国発の旅行者に対する入国制限措置に伴い、日本に入国する韓国国民の安全と不便の解消に対応する必要があります。韓国から日本への入国者が成田国際空港と関西国際空港の2ヵ所に限定されたので、所管の関西国際空港に出入国する韓国国民の状況を毎日点検しています。11日からは、チェジュ航空だけが仁川と関西国際空港の間を毎日1便往復しています。観光ビザ免除が停止されたため、ごく僅かな人数が出入国している状況です。 第3に、多くの人が集まる行事は実施していません。4月初めまでの行事はすべて延期または中止され、13日に予定していた総領事館の再建工事の起工式も中止しました。各地方の民団主催で開催される3・1記念日の行事も延期され、いつ行われるか未定です。 このような状況にあっても、すべての行事を中止することはできません。11日には関西地域の日韓の学者を招き、感染症などの越境協力をテーマに専門家による討論会を開催しました。ムン・ジェイン大統領は3・1記念日の101周年記念スピーチで新型コロナ問題を取り上げ、非伝統的安全保障(NTS)の脅威に対する両国の協力を提案しました。 日本のマスコミも関心を持ち大きく報道しました。この大統領提案を受けて討論会の開催準備を進めていたところ、安倍晋三首相が急きょ強力な入国制限措置を講じたゝめ、当初の開催企画より大幅に縮小されました。かえって意義深い行事になったとも思われます。 この日の討論会で、参加者たちは専門家と民間を中心とする協力の重要性を強調し、必ずしも根拠がはっきりしない入国制限措置は早く解消されるべきだと指摘しました。私は「新型コロナの国境を越えた世界的な拡散状況に鑑み、世界レベルの協力が最も効果的な対応策」だと述べました。 この日の会議において、ある出席者は現在世界で行われている新型コロナ対策には、中国型・韓国型・日本型の三つの類型があり、いずれの対応が最も効果的か近い将来明らかになるだろうとの見解を述べました。都市封鎖などの完全な統制を主とする中国型、症状のある人をできる限りすべて発見して積極的に検査する韓国型、重症患者を選別して検査する制限的な日本型があります。民主主義体制下において採用できる韓国型と日本型のいずれのほうが効果的か注目されることになるでしょう。 最近は週末の行事がなく、家で新型コロナ関連のテレビ番組をよく見ますが、日本国内では韓国のように調査を積極的にすべきだと主張する人は少数派のようです。大半は医療崩壊を防ぐために選別的な検査方法のほうがよいと考えています。 このような日本の現状が心配されます。時間が経てば明らかになるでしょうが、「最大(多数)検査」の韓国型と「選別(少数)検査」の日本型のコロナ対策のいずれがより効果的な対応策なのでしょうか。 Reuters: How Korea trounced U.S. in race to test people for coronavirus